iPS細胞の臨床応用に向けて2020年4月6日
iPS細胞研究所所長 山中 伸弥

iPS細胞研究所は「iPS細胞の臨床応用」という使命のもと、iPS細胞による難病への創薬開発に取り組んでいますが、私たちが生み出した研究成果が臨床で使えるようになるのかを評価するためには、徹底した安全管理体制のもと、臨床研究に精通した医療スタッフが必要不可欠です。

次世代医療・iPS細胞治療研究センターは京都大学医学部附属病院の中にあり、これらいずれをも満たす素晴らしいセンターであると思います。

また、iPS細胞のようなアカデミアの研究成果を新規治療法という形で社会に還元するためには、成果を企業にしっかりと技術移転し、実用化してもらうことも非常に重要ですが、基礎研究と臨床応用の間を阻む“死の谷”と呼ばれる深い溝が存在しています。

次世代医療・iPS細胞治療研究センターの素晴らしいスタッフの方々と、iPS細胞研究所の研究者、医療用iPS細胞を作るiPS細胞研究財団のスタッフ、そして企業、患者さんが一つ目的の下につながれば、この死の谷を乗り越える大きな力になると確信しています。

今後、iPS細胞研究所・iPS細胞研究財団と次世代医療・iPS細胞治療研究センターが強固に連携することで、iPS細胞を用いた再生医療技術が臨床現場で迅速に評価され、一日でも早く、できるだけ安価に革新的な医療技術を患者さんに届けられることを祈念しております。